強い米国特許を獲得するために – 第3回クレームの内容を書くときのポイント(英語原文付)

米国特許弁護士のポールです。

「強い米国特許を獲得するための書類作りのポイント」を5回シリーズで英語原文とともにご紹介しています。
お役に立てば幸いです。

強い米国特許を獲得するために
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強い米国特許を獲得するために
第3回 クレームの内容を書くときのポイント

クレームが発明を可能な限り幅広くカバーするよう留意します。
先行技術の観点において、クレームが必要な要件を含み、不必要な要件を含んでいないこと、また、クレームに使用されている用語に適切な根拠があることに留意します。そして、クレームに使用されている用語がクレーム全般を通して首尾一貫していることに留意します。

例えば、「あるクレームにおいて温度が120˚Cであるとし、そして他のクレームにおいて圧力は8.6MPaである」というように記述された場合、「圧力は、まさに8.6MPaであって、約8.6MPaではない」と解されるリスクが高いと考えられます。この例では、約8.6Mpaを使うべきでしょう。

そしてクレームの要件の相互関係に留意します。全てのクレームに用いられた用語の意味が発明の記載から確認できること、クレーム・明細書間において同一の用語を用いられているかどうかを確認しましょう。また、あいまいな用語や主観的な用語を使わないよう留意します。クレームの用語の定義がクレーム用語の適用範囲を狭めるように解釈される可能性があると考えられる場合は、明細書の記載におけるクレームの用語の定義は削除します。

クレームの前提部分がクレームの本体部分に限定的な効果を及ぼさないよう留意します。また、ミーンズ・プラス・ファンクション形式の要件は使用しない、あるいは、クレームの適用範囲を補完するように別クレームとします。ミーンズ・プラス・ファンクション・クレーム形式の要件を使う場合は、ミーンズ・プラス・ファンクション・形式の要件に対応する構成を明細書に記載します。

次は最終回、第5回のレポートを投稿する予定です。
第1回 概観
第2回 明細書を書くときのポイント
第3回 クレームの内容を書くときのポイント
第4回 クレーム、侵害ポイントを書くとき
第5回 出願手続き処理のポイント

お読みいただきありがとうございます。
ご質問・コメント等がございましたら、下記フォームか、Eメールでお知らせください。(英語でいただけると嬉しいです。)

英語原文:
Part 3 of 5: Writing the Claims, Content of claims

I make sure claims cover the invention as broadly as possible. I make sure claims include necessary elements, and exclude unnecessary elements, in view of the prior art. I make sure the claim terms have proper antecedent basis. I make sure the claim terms are used consistently throughout the claims; for example, if “temperature of about 100-120 degrees C” is used in one claim, and “pressure of 8.6 MPa” is used in another claim, there is a high risk that pressure will be interpreted as exactly 8.6 MPa and not “about 8.6 MPa”. In this example, “about 8.6 MPa” should be used. I make sure the claim elements interrelate one to another. I make sure the meaning of all claim terms is ascertainable from the description of the invention, whether or not identical terminology is used between the claims and description. I make sure vague terms or subjective terms are not used. I delete a definition of a claim term in the description if I believe the definition could potentially be interpreted in a way that could narrow the scope of the claim term. I make sure the preamble of a claim does not have a potentially limiting effect on the body of the claim. I make sure means elements are not used, or are used in a separate claim to round out the scope of the claims. If a means element is used, I make sure the description describes corresponding structure of the means element.

In the upcoming weeks, I will write Part 5 of 5,
Part 1 of 5: Strong Patent, Generally
Part 2 of 5: Writing the Specification;
Part 3 of 5: Writing the Claims, Content of claims;
Part 4 of 5: Writing the Claims, Infringement Considerations;
Part 5 of 5: Prosecution Considerations.

Stay tuned.

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ポール・ステフェス
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    強い米国特許を獲得するために – 第2回 明細書を書くときのポイント(英語原文付)

    米国特許弁護士のポールです。

    「強い米国特許を獲得するための書類作りのポイント」を5回シリーズで英語原文とともにご紹介しています。
    お役に立てば幸いです。

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    第2回 明細書を書くときのポイント

    背景技術は短く一般的で、長すぎず、特定しすぎることのないよう留意します。米国特許法では背景技術は要求されていません。

    そして、サマリーではクレームを正確に反映させます。サマリーも米国特許法では要求されてはいません。
    サマリーにおいては、次のことを説明します。
    1) 多くの発明の実施形態があること、
    2) 実施形態はひとつかそれ以上の従属請求項の発明特定事項を含む可能性があること、
    3) いずれの[従属請求項の]発明特定事項も他の発明特定事項と組み合わせの可能性もあること、
    4) いずれの[従属請求項の]発明特定事項も他の発明特定事項とは別のものであること。

    私の場合、特許申請には、絶対的な意味を持つ用語(例、重要な、必要な、並行した等)を、使うことはありません。もし絶対的な意味を持つ用語が必要な場合は、代わりとなる用語とします。記載としては「発明」そのものではなく、発明の実施形態や発明の態様を説明するように留意します。記載が「先行技術」や「周知技術」としての主題となってしまわないよう留意します。そして出来る限り、変形例や代替例、そしてまた、発明の要素についての追加の実施形態を説明します。PCT国内段階移行(国際出願に忠実な翻訳使用)と、例えばバイパス継続出願として出願された特許出願の違いに注意を払うことに心がけています。

    次は最終回、第5回のレポートを投稿する予定です。
    第1回 概観
    第2回 明細書を書くときのポイント
    第3回 クレームの内容を書くときのポイント
    第4回 クレーム、侵害ポイントを書くとき
    第5回 出願手続き処理のポイント

    お読みいただきありがとうございます。
    ご質問・コメント等がございましたら、下記フォームか、Eメールでお知らせください。(英語でいただけると嬉しいです。)

    英語原文:
    Part 2 of 5: Writing the Specification

    I make sure the background is short and general, not long or specific. A background is not required by U.S. patent law. I write the summary to mirror the claims. A summary is also not required by U.S. patent law.

    In the summary, I explain:
    1) There may be many embodiments of the invention;
    2) The embodiments may include one or more features [dependent claims];
    3) Any feature [dependent claim] may be combined with any other feature; and
    4) Any feature [dependent claim] may be separated from any other feature.

    I rarely use absolute terms (e.g. important, necessary, parallel, each, etc.) in the patent application. If absolute terms are necessary, I supplement with alternative terms. I make sure the description describes embodiments or aspects of the invention, not “the invention”. I make sure the description does not admit any subject matter as “prior art” or “well known”. I make sure terms are used in a consistent manner throughout the patent application. As often as possible, I describe variations and alternatives and/or additional embodiments of an element of the invention. I am mindful of the differences between PCT national stage (true translation) versus for example a patent application filed as a by-pass continuation.

    In the upcoming weeks, I will write Part 5 of 5,
    Part 1 of 5: Strong Patent, Generally
    Part 2 of 5: Writing the Specification;
    Part 3 of 5: Writing the Claims, Content of claims;
    Part 4 of 5: Writing the Claims, Infringement Considerations;
    Part 5 of 5: Prosecution Considerations.

    Stay tuned.

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